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積極的に講演を

日本では、単に挨拶だけのために訪問する、表敬訪問といった習慣があります。しかし、外国の大学などでは、ただ単に挨拶を交わすだけの訪問はむしろ珍しいのです。日本型の表敬訪問をしようものなら、いったい、この人はなんのために来たのだと思われかねません。正式に訪開の許可をとって訪ねて行くと、ほとんどといってよいほど、私にも何か日本の精神医学の現状などについて話してほしいと依頼されます。それが、習慣というか、訪問客に対する礼儀のようです。せっかく外国からの訪問客があるのだから、ぜひ、その人の意見を間いてみようという態度をとるわけです。そんなときに、どうしても日本人は「私は英語がうまくない」「十分準備する時間がない」「それは私の専門ではない」などと言って断ってしまう大が多いのです。しかし、これではせっかくの機会を逃してしまいます(なお、私が高校生の頃に交換学生としてカリフォルニアに1ヵ月滞在したときですら、どこかを訪問した際に、簡単なスピーチや、日本について説明する機会がありました。高校生に対してすらそうなのですから、観光旅行でもないかぎり、どこかを訪問すると、こちらも何か話をするように依頼されます)。自分から売り込むとまではいかなくても、少なくとも相手側から講演を依頼された場合は、けっして断ったりしないで、むしろ積極的に依頼を受けて、話をしてみましょう。相手からも当然、質問やコメントがきますので、自分が気づかなかった視点を得る機会にもなります。そしてまた、これは大変よい英語の練習にもなるわけですから、何も自分のほうからせっかくのコミュニケーションの機会を断ってしまわないようにしてください。また、講演の後には昼食や夕食に招待してくれるのも習慣のようです。これも私たちも見習うようにしましょう。「講演なんて私には関係ない」などと思わないでください。私の知り合いが定年後に夫婦でしばらくニュージーランドでホームステイをしてきました。やはり、日本のことを話してほしいとしばしば頼まれたそうです。幸い、御主人はカメラやビデオが趣味だったので、日本の四季の行事をスライドやビデオで前もって撮っておき、編集したものを持っていきました。滞在先の家庭でそれを見せたところ、自分たちだけで観るのはもったいないと、コミュニティの集まりで講演してほしいと頼まれたというのです。スライドやビデオがあるので、説明はたどたどしい英語でも何とかわかってもらえたそうです。その夫婦はすっかり地域の人気者になってしまい、スーパーマーケットなどでも見知らぬ人からもよく声をかけられました。その後も何度か日本について話してほしいと依頼され、そのたびに喜んで出かけて行き、友人も増えたそうです。こんな経験があれば、単なるホームステイ以上。の思い出となるのは確実です。講演なんて専門家か著名人のすることなどと堅く考えずに、私たちには誇るべき文化があるのですから、それをぜひ堂々と伝えてきてください。学会発表私はそれほど経験がないころは、学会発表に先立って原稿を用意して、何度もそれを読み上げる練習をしました。なるべく見ないでも済むくらい、頭にたたき込むようにして何度も練習しておきました。また外国の学会では、日本以上にひとりに与えられた時間の制限は厳しいですから、十分に準備をしていかないで持ち時間を超えるようなことがあると、発表の中止を指示されることさえあります。前もって発表原稿を用意しておいて、それを読み上げて、それを何度も練習しておけば、滑らかに英語を読むことができるようになりますし、また発表にどのくらいの時間がかかるのかという目安もわかってきます。ですから最初のうちは原稿を用意しておいて、それを何回も読み上げてみる必要があります。ただ黙読するだけではなく、実際に読み上げて練習してください。なお、私の経験では予定時間の9割をめどに学会発表の準備をしておくと、実際の場面でちょうどよい時間になります。30分の時間が与えられているとするならば、27分くらいの準備をするのです。会場ではすぐにスライドが映らなかったり、座長からの紹介などの時間も含まれるので、ギリギリの時間を予定していると、その場でまごつくことになりかねません。