嫁入りの行列には、実家から婿の家への引移りの時空間に横たわるケガレが付着するものと考えられていた。たとえば白昼に提灯をやりとりしたり、ボウビヤ(棒火箭)といって、沖縄八重山の嫁引移りでは途中で提灯の火が消えてしまうことを非常に嫌ったという。また嫁が婿の家の門をくぐろうとする刹那、爆竹が三度打ち鳴らされたという。これは花嫁行列についてきたすべての魔物を追い払うためだといっている。そのことと類似する習俗にシリタタキがあった。たとえば長野県上局井郡では、花嫁は引移ってきて婿の家の台所から入ることになっていた。そしてその入りロの両側には若者が一人ずついて、手に藁束を持ち立って待っている。そして嫁が敷居を越すと同時に、双方から進みでて藁束で嫁の尻を打ったという。さらにその藁束は結び合わせてから屋根の上に投げ上げた。それが落ちてくると、それは凶兆として忌まれたという。