その通りにしたら眠れるようにはなったが、歯の違和感は強まる一方で、生理も不順になり、顔中が吹き出物でいっぱいになった。当時四歳だった娘の友達などは「どうしてそんなにブッブツできてるの?」と、あからさまに聞いてきたほどだ。通院から五か月経ったころ、廃人のようになっていた私はパジャマ姿のまま、家人にムリヤリ別の病院に連れて行かれた。そこで私は「口腔心身症」という病気であることを知った(この病気については平凡社新書の『歯医者が怖い。』という本にまとめたので、ぜひ読んでほしい)。そこの先生はまず薬を出し。「夜は十二時前に寝るようにすれば、早寝早起きにこだわることはない。昼寝もしていいよ。寝たい時は寝ればいい」と言った。元来が勤勉な私は、もともと昼寝は好きではないのだが、言われるままに、眠くて仕方のない時は三十分ほど昼寝をするようにした。もちろん夜はなるべく早く寝た。するとひと月ほどすると薬の効果が出て、ふつうの生活」戻ることができた上、生理も順調になり、顔中にできていた吹き出物もいつのまにか消えていたのである。このとき肌にとって化粧や食べ物は二の次だとつくづく感じた。心身のバランスが崩れると、いくら美容に良い食事をして、高価な化粧品を使っても焼け石に水だ。昼寝で美人にはならなくても、昼寝のできる精神的な余裕のある暮らしが美肌を保つ。化粧品や健康食は、精神状態がある程度安定した状態で使って、初めて効果を発揮する。そのことを私は身をもって痛感した。現代では“かたち”の人にこそ昼寝を勧めたい私である。
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