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衰えを感じるのはやる気

若いころと比べて、もう一つ衰えを感じるのはやる気だろう。昔は意欲満々だったのに、今さらがつがつと試験勉強などできないやと思う人も少なくないかもしれない。実は、人間の脳が老化する際には、記憶力より意欲や創造性のほうが先に衰えるものだ。私は高齢者専門の精神科医をやっており、一時期は週に一〇〇枚近くの脳のCTスキャンやMRIの画像を見た。すると、人間の脳というのは、短期記憶を司るとされる海馬より先に、必ずといっていいほど前頭葉と呼ばれる脳の前のほうの部分が萎縮することがわかった。この前頭葉(東北大学の川島隆太教授はその中でも前頭前野という部分の大切さを強調しているが)の役割は、意欲や創造性や感情のコントロールを司ることだとされている。歳をとると(おそらく四〇代くらいから)前頭葉が衰えることが不可避だとすると、意欲を維持するためには、かなり意識的に意欲を保つことを考えないと、意外に難しいのかもしれない。そしてやる気が維持されないと勉強は続かない。まず、脳が衰えるのは不可避なのだから、脳科学の知見を用いて、意欲を保つという考え方がある。川島隆太氏は、前頭前野の活性化を重視し、そのために音読や計算が効果的だとしている。記憶力が上がるだけでなく、意欲も出てくるというのだから、試してみない手はない。実際、先生の土堂小学校などでも、百ます計算や音読を通じて、子どもたちの学力だけでなく、意欲も増したとされている。