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夫婦の役割に関する期待

夫婦の役割に関する期待というものは、長い年月を経て少しずつ形成されたものであって、結婚の直前になって発生するものではないのです。あまり意識的ではないが、少しずつ、徐々に形づくられていくものでしょう。このように、いつの間にか出来上がっている役割期待(夫のイメージ、妻のイメージといってよいと思う)、曖昧な役割期待を、意識化し、言葉で表現するという作業を怠り、それを相手に投射していることが多いのではないでしょうか。ちょうど、相手のスクリーンの上にフォーカスされていない役割期待の映像を写しているようなことをしているのです。そこに期待はずれが生じます。また、何を求められているのかがお互いに漠然としているから、はっきりその期待に応えられない、という問題を生み出しているのではないでしょうか。たとえば、Sさんは、夫が家事の負担をしてくれるのは当然だと考えていました。というのは、Sさんが育った家庭では、父親がよく家事を手伝っていたからです。そして、母親は家を留守にして、自分の興味のあることをするためによく外に出ていたのです。そんな家庭に育ったSさんは、いつのまにか、夫のイメージ、妻のイメージを頭の中に創りあげていたのです。それをそのまま自分の結婚後の生活に投射していたのです。そして、結婚前にそのことを夫となる人と十分に話し合っておかなかったのです。話し合う必要を感じなかったというのです。そこに問題がありました。Sさんの夫は、そんな役割期待が妻にあるとは露知らずに結婚したのです。家事の負担を妻に求められ、外によく出かける妻に不満な夫は、ある日妻に、「家事を俺がやるなんて、結婚した意味がない!」と、つい本音を吐いてしまったというわけです。「じゃ、私を家事手伝いと考えて結婚したの?」って妻は言い返し、大口論。そして、二人の夫婦観、結婚観が合わないといって、離婚してしまいました。結婚生活三ヵ月でした。こういう例はこの一例だけではなく、ほかにもあるのです。最近は多いんです。